イギリスの異常気象をAmazonプライム『Clarkson’s Farm』で考える——天気が荒れるたび、私はあの農場を心配する

農場とトラクター

天候は人間がどうすることもできない。つきあっていくしかない。(Photo: Unsplash)




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◆目次

⬇️ 1.イギリスにエアコンが普及しない理由

⬇️ 2. この20年で変わったイギリスの気候

⬇️ 3. 異常気象と農作物とアマプラ『Clarkson’s Farm』

⬇️ 4. 『Clarkson’s Farm』が見せる、綺麗事なしの現実

⬇️ 5. 農業だけで生きていく難しさ

***




1. イギリスにエアコンが普及しない理由

5月下旬。

イギリス各地は連日30℃越えの夏日でした。
口を開けば出てくる言葉は「暑い」の一言。

ほとんどのイギリス家庭は、エアコンなしでこの暑さを乗り越えることになります。

では何故イギリス家庭にはエアコンがないのでしょう。

そう。
この暑さ(イギリス的には猛暑)はここ数年に始まった事だからです。(私調べ)

この熱波が来る1週間前には夜にヒーターをつけていた我が家。

「この暑さは今だけかもしれない」

年に数日だけのために、エアコンを買う気にもなれず、我が家みたいにファンだけが増えていくご家庭も少なくないはずです。

でも、この変わっていく天気がもたらす本当の恐怖を、私はロンドンの自宅ではなく、Amazonプライムで配信しているある番組を通して知ることになるのです。


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2. この20年で変わったイギリスの気候


ここ20年のイギリスで、気候が確実に変化しているのが実感としてあります。

この20年で平均気温はおよそ0.5℃上昇し、かつては珍しかった30℃超えの熱波も頻繁に見られるようになりました。(Met Officeより)

2000年代前半までは、イギリスで30℃超えは「珍しい夏の出来事」でした。
実際、2001年にロンドンの夏を経験したのですが、涼しかったと記憶しています。

昔のイギリスの夏といえば、「たまに晴れ間が見える、涼しい季節」という印象でした。

ところが2019年には観測史上最高となる38.7℃を記録し、さらに2022年には40.3℃を突破。
「イギリスでも40℃になる」という事実は、多くのイギリス人に衝撃を与えました。

そして、2026年5月。

今回の熱波はイギリス各地で記録的なものとなっています。

ロンドンでは35℃を超え、5月として記録的な暑さが続く一方で、北部では11℃前後と地域差も大きくなっています。
鉄道の遅延や運休、農作物への影響、屋外活動中の事故など、生活全体に影響が広がっており、住宅の暑さ対策そのものが課題として指摘されています。

冬に目を向けると、降水量が増し、洪水被害が深刻化しています。
実際に洪水被害に遭われたご家族のお話を聞いたところ、1階部分が全て水浸しになり、生活できる状態になるまでホテル暮らしになったそうです。

「イギリスの天気は変わりやすい」とはよく言われますが、最近の変化はかつての気まぐれな天気の話とは、もう少し違う次元の話のように感じます。

この20年のイギリスを一言で表すなら、「穏やかな海洋性気候」が「極端化した気候」へと変わり始めている、ということでしょうか。

そんな中、私の心配事は気候に直結する農作物の心配へと続くのです。



水害 ヨーク

イギリスのヨーク。こうなったらお手上げです。(Photo: Unsplash)



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3. 異常気象と農作物とアマプラ『Clarkson’s Farm』



雨量や気温の振れ幅がここまで大きくなると、当然、ダイレクトに影響を受けるのが農業です。

実際、イギリスの小麦やジャガイモなどの主要作物の収穫量は、年によって大きく左右されるようになり、農家の方々は毎年悲鳴を上げています。

昔の私なら、ニュースで「今年の収穫量は最悪」と聞いても、「へえ、大変なんだな。スーパーの野菜が値上がりするのかな」くらいの、どこか他人事のような感想でした。

それが、ここ数年は天気が崩れるたびに、「ああ、あのみんなは大丈夫かしら…」と、カントリーサイドの泥だらけの景色を思い出し、英国の農家の方達を本気で心配するようになりました。

そのきっかけは、Amazonプライムで配信されている『Clarkson’s Farm(邦題:ジェレミー・クラークソン 農家になる)』です。

私はこの配信番組が大好きで、シーズン1からずーっと欠かさず観続けています。




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4. 『Clarkson’s Farm』が見せる、綺麗事なしの現実


この配信番組は、あの自動車番組『トップ・ギア』の破天荒な司会者として有名なジェレミー・クラークソン(以下ジェレミー)が、コッツウォルズにある広大なDiddly Squat Farm(ディドリー・スクワット農場)を自分で経営するというドキュメンタリーです。

何の気なしに観始めた番組ですが、そこに描かれていたのは、エンタメの枠を遥かに超えた、イギリス農業の「綺麗事なしのガチな現実」でした。



シーズン1の撮影は、主に 2019年〜2020年にありました。


そう、あのパンデミックのあった年です。




その年は記録的な大雨でそもそも種が撒けず、やっと撒けたと思ったら今度は歴史的な干ばつ。

ジェレミーが頭を抱え、必死に泥まみれになりながら自然の猛威と戦う姿を見て、私は一気にこの番組のめり込んでいきました。





ところで、農業は一人では出来ません。
この過酷な挑戦を支える愛するメンバーたちを少し紹介します。
ご存知の方は読み飛ばしてください 🤗
(主観も入ってますm(__)m)

ケイレブ(Kaleb)生まれてからほとんどチッピング・ノートンを出たことがない、筋金入りの“カントリーサイドLOVE”な地元青年。けれど、ひとたびトラクターに乗れば、その腕前はまさに農業分野の若き天才です。
ジェレミーの的外れな思いつきに本気でキレながらも、誰よりも農業を愛し、現場を引っ張っていく姿が本当に格好いい。
(後に『The World According to Kaleb(邦題:ケイレブの世界:オン・ツアー)』で、チェルトナムやロンドン、グラスゴーなどを巡ることになります。)
チャーリー(“Cheerful” Charlie)いつも冷静沈着な農学者兼不動産コンサルタント。役所のややこしい規制や、容赦ない赤字の数字を淡々と突きつける、農場のブレーンです。どんな絶望的な状況でも声を荒げることはなく、穏やかな微笑みをキープしつつ、“よくないニュース”を伝える彼はもはや「優しい悪魔」。でも、現実を見る彼がいるからこそ、あの農場の経営はなんとか成り立っているのだと思います。
ジェラルド(Gerald)地元の英国式石壁修復(ドライストーンウォーリング)のベテランであり名人。チーム最年長でありながら、現場になくてはならないアイドル的存在です。独特の訛りが強すぎて、ジェレミーにも視聴者にも何を言っているのかほとんど聞き取れず、字幕すら「お手上げ」になる場面もあるけれど、不思議とケイレブにはジェラルドの言葉が理解できるようです。シーズン3では大病を患い一時プロジェクトを離れますが、シーズン4で待望の復帰を果たしました。
リサ(Lisa)ジェレミーのパートナー。かつてはモデルや女優として華やかな世界にいたはずなのに、今ではすっかり泥まみれになって農場ショップの運営や家畜の世話に奮闘する姿が、なんとも素敵です。 アイルランド出身の彼女は、時にジェレミー以上の自由奔放な行動力を見せることも。農場ショップの運営では、独自の感覚で突っ走るあまり、堅物チャーリーから「そのやり方だと刑事犯罪(ルール違反)になりますよ」と真顔で諭される一幕もありました。それでも、彼女の感性と温かみが農場ショップに独特の空気をつくり出しているのは間違いありません。





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5. 農業だけで生きていく難しさ


このほかにも、多くの人たちに支えられながら続いている『Clarkson’s Farm』。

もともとジェレミーが所有していた農場は、長年地元の農家に任されていました。
その人物が2019年に引退することになったのをきっかけに、ジェレミー自身が農家になる決意をし、このプロジェクトが始まりました。

農業の知識がほとんどないジェレミーが、周囲の意見を聞きながら、考え、そして体も頭もフルに使って一から農業に挑んでいく姿は、見ていてワクワクすると同時に、農業という仕事の大変さを改めて突きつけられるものでした。

しかもシーズン1から、天候不良やパンデミック、地元住民との衝突など、決して順風満帆とはいえない状況が続きます。

特に、シーズン1はプロジェクトの成長が見ものでしたが、年間収益がたったの144ポンドだったことを受け、シーズン2から多角経営に挑みます。

そしてシーズン4に至ってはパブ開業の話がメインとなっていきました。

ジェレミーは、「僕はご存知の通り他にも仕事がある。しかし、農業を本業にしている人たちはどうやって食べていっているのか」といったような趣旨のことを番組内でつぶやいています。


『Clarkson’s Farm』を見てから、大雨が降れば作物が流されていないか、干ばつが続けば枯れていないか心配になり、どうにもならない自然相手の厳しさに、ジレンマを感じたりするのです。


いつかジェレミーが「もうお手上げだ」と言って、番組自体が終わってしまわないかと考えてしまうほど、自然と現実に振り回されています。




それでも、今年も新シーズンの配信があるようです。

よかったです!

来る6月3日には、待望のシーズン5の配信が控えています。





問題ばかりの『Clarkson’s Farm』プロジェクトはどうなっていくのでしょう。








激しい雨が窓を叩くとき、あるいはこの猛暑の中で冷たいビールを飲むとき、私はコッツウォルズのあの愛すべきメンバーたち、そして、世界中の農家の方に、「がんばれ」とエールを送るのです。







お土産

友人が実際にプロジェクトの農場(Diddly Squat Farm)に行き、隣接している売店で買ってきたお土産たち。トラクターは火を噴いているし、蜂蜜の瓶に至ってはジェレミーの写真付き。私もいつかは行ってみたいな。(Photo: 友人)




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🌐 参考サイト

🔗 BBC News (イギリスの熱波・気候変動に関するニュース報道)
🔗 Met Office (イギリス気象庁)
🔗 GOV.UK (イギリス政府:洪水被害・リスク情報)

🔗 Amazon Prime Video(UK)Clarkson’s Farm シーズン5
🔗 Amazon Prime Video(日本)ジェレミー・クラークソン 農家になる シーズン5

おまけ
ケイレブの魅力たっぷり イギリス各地を回ったトークショー
🔗 Amazon Prime Video(UK)The World According to Kaleb
🔗 Amazon Prime Video(日本)ケイレブの世界:オン・ツアー



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掲載日:2026年5月28日


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