「The Renters’ Rights Act Information Sheet 2026」ってなんですか?
私はロンドンの端っこに賃貸で住んでいます。
先日、大家さんからこんな携帯のショートメッセージを受け取りました。
“I need to deliver some government information to you.
Could I come this evening?”
おお、なんでござるか。
契約上、大家が連絡してからうちに来るまで24H notice(24時間前の事前通知)が必要なのですが、ここにはかなり長く住んでいて、大家とはいい関係性(たぶんね)が築けているので、すぐに行くと言われても別にいいのです。
ですが、政府からのお知らせと言われても思い当たるふしもなく、知らない間に何か法に触れることをしたのかしらとか、何か悪いお知らせに違いないとか、ドキドキしながら待っていました。
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◆目次
⬇️ 1. 2026年5月1日からイギリス賃貸の法律が変わる
⬇️ 5. 縁と出会いと物件と
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▼1. 2026年5月1日からイギリス賃貸の法律が変わる
ニコニコしながらやってきた大家さんが持ってきたのは、政府発行の「イギリス賃貸の法律変更のお知らせ」でした。
それは、A4用紙4ページに書かれた「The Renters’ Rights Act Information Sheet 2026」というものでした。
| ※2026年5月1日から反映されるルール変更は、賃貸契約を結んでいるすべての人に反映されるということ。 ※ただし、カウンシルフラットなどの公営住宅に住んでいる人や、間借り人には、その新ルールは通常は適用されません。 |
さて、どんなことが書いているのでしょうか。
紐解いてみましょう。
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▼2. テナント側に寄り添ったルール変更でびっくり
🏠「Section 21(理由なき立ち退き)」の廃止
まずは、大家による「理由なき立ち退き」が廃止されました。
これまでのように、大家さんの都合で(理由を告げられずに)「2ヶ月以内に出て行ってください」と言われる不安が法的に解消されます。
ロンドンの高い家賃を払い続けながら、どこか「いつ追い出されるかわからない」という仮住まいの感覚が常にあった私にとって、これはようやく手に入れた、本当の意味での「マイホーム」に近い安心感かもしれません。
🏠 賃貸期間の廃止
これまでは、賃貸契約に「6ヶ月」や「12ヶ月」といった固定の契約期間が設定されていることが一般的でした。
今後は、そうした終了日を設定する「固定期間契約」が実質的になくなります。
では、いつ契約が終わるのかというと、主に以下の流れに集約されます。
⚫︎ 借りる側(テナント)が通知期間(notice)を守って退去する形で契約を終了する: 自分が引っ越したいタイミングで、決められた期間(notice)をもって大家さんに知らせる形です。
⚫︎ 家主とテナントが合意の上で決める: お互いに話し合って「この日にしましょう」と決める場合。
⚫︎ 家主が「正当な理由」に基づいて終了を求める: 大家さん側から終わらせるには、法律で定められた正当な理由(売却や自己居住など)が必要になります。
「1年に1回、更新の時期が来るたびに『次は更新してくれるかな?』とドキドキする」という、あの特有のプレッシャーからは解放されることになりそうです。
🏠 家賃の値上げ
家賃の値上げは年1回しかできなくなりました。
値上げをする場合は、〈Form 4A〉と呼ばれる様式を使用して、少なくとも2ヶ月前に通知する必要があります。
賃料は、市場を越える値段にはしてはいけず、もし、市場価格を超えていると思われる場合は、裁判所に異議申し立てを行うことが可能です。
🏠 大家さんが立ち退きを請求できるとき
「Section 21(理由なき立ち退き)」こそが、「理由は言いませんが、来月出て行ってください」と言える、いわゆる家主側に立った法律でした。
これが廃止になったことで、基本的には借りる側が退去日を通知しない限り、退去させることはできなくなりました。
ただ、それでは大家さんが困る場面も出てくるので、以下の理由で大家側から退去を求めることができます。
⚫︎ 家賃滞納
⚫︎ 本人、同居人、訪問者が建物内または近辺で反社会的行為を行った
⚫︎ 建物を適切に管理していないと判断した
など
ただし、入居12ヶ月は以下の理由で退去を求められることはありません。
⚫︎ 不動産売却
⚫︎ 家主または家族が物件に入居したい
など
あなたが退去したい場合は、退去する2ヶ月前までに手紙やメールなどでその旨を伝えればいいだけです。
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▼3. え!?ペット飼い放題?
そして、最後にペットに関する法律の変更です。
なんと、借りる側がペットを飼いたい場合、大家さんは正当な理由なしに拒否しづらくなりました。
まさしく、飼いたい放題です。
以前、私は猫を飼っていました。
いくら動物に深い愛情を注ぐお国柄のイギリスでも、ペット不可の物件は多く、引越しのたびに物件選びには苦労をしました。
それが今後は、以前よりペットを飼いやすくなりそうです。
とはいえ、限度はありますよね。
強制ではありませんが、ペットによるダメージに備えた保険加入を求められることもあります。
大家さんやその家族が動物アレルギーという理由などで断られることもあるかもしれませんが、その場合も、書面で理由を渡さなければならないようです。

猫を飼っていた当時の賃貸契約書。猫1匹は飼っても良いと書いてくれていました。
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▼4. 結局、「4ヶ月」の猶予は長いのか短いのか
「理由なき立ち退き」がなくなったとはいえ、大家さんが家を売る場合は退去しなくてはなりません。
ただ、その場合の通知期間(Notice Period)は、以前の2ヶ月から4ヶ月へと延びました。
「家を売る」と言われれば追い出されることに変わりはないじゃないか、と思うかもしれません。
でも、あの熾烈なロンドンの物件探し。2ヶ月と4ヶ月の差は、絶望と希望ほどの違いがあります。
「4ヶ月あれば、なんとか次を見つけられるかもしれない」という心の余裕。
この「時間の盾」こそが、今回の法律がくれた一番のギフトなのかもしれません。
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▼5. 縁と出会いと物件と
いかがでしたでしょうか。
かなり借り手側に有利になったルール改正だと思いました。
ところで、ルール変更が出たからといって、契約書を改めてもらう必要はありません。
ただし、2026年5月31日までに、政府発行の「The Renters’ Rights Act Information Sheet 2026」(私の大家が持ってきたもの)を、テナントに渡すことが義務付けられており、これを怠ると最大£7,000の罰金が科される可能性があるようです。
もし、まだ受け取っていない方は、罰金を払うのは相手だとしても、一度「あの政府の書類、もらえますか?」と聞いてみるのがいいかもしれません。
大家さんが来る前はドキドキしていましたが、今回の変更で私たち家族と大家さんとの関係に変更はなさそうです。
そして、私は家を買うという選択肢は今のところはなくて、この先もここに住む予定です。
大家さんもとてもいい人で、ご近所さんもとてもいい人で、近くに時々遊ぶ友達もできました。
それまでは、学生の頃のシェアハウスでは部屋に置いていた現金が盗まれたり、家具なし物件に引っ越したときは、家具もやっと揃ったところで大家に「家を売るから来月出て行って」と言われたこともあったり、ミッキーがこんにちはするような家に住んだりと色々とありました。
イギリスに長く住むコツは諦めないことでしょうか。(笑
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🌐 参考サイト
🔗 Guidance Renters’ Rights Act overview for tenants (借りる側のための賃貸法律の概要)
🔗 The Renters’ Rights Act Information Sheet 2026 (PDF)
※私が大家からもらった書類がこちらです。サイトで閲覧可能ですが、家主または中間業者から受け取ってください。
🔗 Form 4A (PDF)
※Landlord’s notice proposing a new rent for assured tenancies in the private rented sectorという、賃上げをする際に使用するFormです。
🔗 その他のFormの一覧ページ
※細かい変更点は政府のサイトでご確認ください。
※フルタイムの学生はまた別のルールがあるようです。
※2026年5月14日現在の情報です。
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掲載日:2026年5月14日


