劇場はストランド通りのVaudeville Theatre。すぐ隣では『Back to the Future』、向かいのサヴォイ劇場では『Paddington Bear』のミュージカルが上演中でした。まさにウエストエンドのど真ん中にあります。
2025年11月4日〜9日まで、ロンドンのウエストエンド Vaudeville Theatreで日本版ミュージカルSIXが上演されました。
イギリス生まれの作品が、日本語で、しかもロンドンで上演される──こんな貴重な機会を逃すわけにはいきません。
なぜそんな風に思ったのか…。
ある日、YouTubeのおすすめで日本版キャストの歌っている動画が流れてきました。
SIXについて知らなかった私ですが、この動画を見た瞬間からふつふつと観たい気持ちが湧いてきたのです。
▶︎ミュージカル『SIX』 日本キャスト版歌唱動画 EX-WIVES and SIX – 梅田芸術劇場チャンネル Umeda Arts Theaterより
音楽、歌、画面から出てくるパワーが凄くないですか?
いや、もう、絶対に観たい!
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◆今回のトピック
⬇️ 1. SIXとは?
⬇️ 2. 歴史的背景
⬇️ 3. 迫力の日本語版
⬇️ 4. 鑑賞後のエピソード
⬇️ 5. ソニンの舞台裏動画
⬇️ 6. 日本のキャストが成し遂げたこと
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▼1. ミュージカルSIXとは?
「離婚、打首、死亡、離婚、打首、死別(Divorced, beheaded, died, divorced, beheaded, survived)」──これはヘンリー8世の6人の妻たちの運命を表す有名なフレーズです。
このミュージカルは、歴史の教科書では脇役扱いされてきた6人の妻たちが主役。
彼女たちがポップスターとなり、ビヨンセやアリアナ・グランデを思わせる現代的な楽曲で、それぞれの人生を歌い上げます。
「誰が一番悲惨だったか」を競うコンテスト形式で物語は進み、約80分間ノンストップのエネルギッシュなステージ。
2017年にエディンバラ・フリンジで初演されて以来、ウエストエンド、ブロードウェイ、そして世界中で大ヒットしているイギリス発のミュージカルです。

6人の妻たちを翻弄した、イングランド王ヘンリー8世。この王ったら!
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▼2. ちょっとおさらい:歴史的背景の面白さ
ヘンリー8世(在位1509-1547年)は、イングランド史上最も有名な王の一人です。
なぜ6回も結婚したのか?
それは男子の世継ぎを得るため、という切実な理由がありました。
最初の妻キャサリン・オブ・アラゴンとの離婚を認めなかったローマ教皇に対し、ヘンリー8世はなんとイングランド国教会を設立してカトリックから離脱。
自分の離婚を正当化するために、宗教改革を断行したのです。
6人の妻たちの運命は実に多様です。
| 👑 キャサリン・オブ・アラゴン | スペイン王女。20年以上連れ添うも離婚 |
| 👑 アン・ブーリン | エリザベス1世の母。反逆罪で斬首 |
| 👑 ジェーン・シーモア | 待望の男児(後のエドワード6世)を産むも産後12日で死去 |
| 👑 アン・オブ・クレーヴズ | 肖像画を見て結婚するも「実物が違う」と半年で離婚。その後は「王の妹」として穏やかに暮らす |
| 👑 キャサリン・ハワード | 10代で王妃に。不貞の疑いで斬首 |
| 👑 キャサリン・パー | 3度目の結婚相手がヘンリー8世。王の死後まで生き延びた唯一の妻 |
それぞれがドラマチックな人生を送った彼女たち。
SIXは、その物語を現代の視点から鮮やかに描き出します。
余談ですが、以前「イギリスの郵便事情【歴史編】」でも書きましたが、Royal Mailも実はヘンリー8世の時代に始まりました。
王室郵便制度の基盤はヘンリー8世時代に整えられました。
歴史を知ると、舞台上で歌われる彼女たちの言葉が一層リアルに響いてきます。
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▼3. ここまで凄いとは思わなかった ― 迫力の日本語版 SIXの世界とは
日本では、東京、愛知、大阪と3都市で演じられたSIXのオリジナルキャストがロンドンにやってきました。
出演者は下記の通り。
👑 キャサリン・オブ・アラゴン… ソニン
👑 アン・ブーリン… 田村 芽実/皆本 麻帆
👑 ジェーン・シーモア… 遥海
👑 アナ・オブ・クレーヴス… エリアンナ/菅谷 真理恵
👑 キャサリン・ハワード… 鈴木 愛理/豊原 江理佳
👑 キャサリン・パー… 和希 そら/斎藤 瑠希
ソニンさんと遥海さん以外はWキャストになります。
何度も、何度も、何度も見たYouTube。
「離婚、打首、死亡、…」
あの曲はばっちり頭に入っています。
さあ、いよいよ6人の元妻たちのバトルの開幕です!

Vaudeville Theatreの客席数は約690席。私の席はGrand Circleです。
幕が開いた瞬間から、まさに圧巻。
こんなに日本語がこのミュージカルの曲に合うなんて。
まったく違和感がありませんでした。
私はソニンちゃんしか存じ上げなかったのですが、ソニンちゃんの成長ぶりに涙し、他のキャストの皆さんの圧倒的な歌唱力に胸打たれたのでございました。
全員の体幹がしっかりしていて、ダンスも歌も美しく、観ていて本当に気持ちが良かったです。
特に、ラストで6人が順番に右手を上げていくシーン──もう、これが最高でした!
そして何より、ロンドンの観客がスタンディングオベーションで応えていたこと。
自国の歴史を異なる国の言葉で演じられる。
それを躊躇せずスタンディングオベーションで感謝と感動を伝える。
そんなことを考えていた胸熱な時間でした。
日本語の歌詞、日本人キャストでありながら、本場ロンドンの観客を完全に魅了していたのです。
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▼4. そして、鑑賞後
劇場を出ると、外壁に貼られたキャストのパネルの前で、皆さん記念撮影をしていました。
私もせっかくなのでソニンちゃんの写真を撮ることに。

ソニンちゃん。表情、歌声、コアマッスル!すべてが素晴らしかったです。
すると、一人のパネルの前だけ、明らかに人が多い。
私はその方を存じ上げなかったのですが、「これは有名な方に違いない」と周りに便乗して記念撮影(笑)。
帰宅して調べたところ、元ハロプロのアイドル・鈴木愛理さんでした!
舞台で観たあの華奢な体から、透明感がありながらも芯のある歌声が響いていたことを思い出し、改めてその実力に驚かされました。

鈴木愛理さん。元アイドル(今も?)だなんて微塵も思いませんでした。これからも楽しみにしています。
そんな私ですが、1番気になったのは、遥海さんが演じるジェーン・シーモアでした。
唯一男児を産んだ妻としての「ほら、私はあなたたちとは違うから」感がとても出ていて好きでした(笑)。
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▼5. ソニンが教えてくれた舞台裏。そして、2度目の涙。
そんなこんなで、鑑賞してから数ヶ月経ってもあの時の興奮はまだ残っています。
そして、つい先日、ソニンちゃんのYouTubeでロンドンの舞台裏の動画を見つけてしまいました。
▶︎【ソニン】ロンドン公演へ挑戦の旅【ミュージカル”SIX”】本場ウエストエンドまでのドキュメント – SonimOfficialTubeより
ああ、こんな思いであの舞台に上がっていたのですね。
ソニンちゃんは(遥海さんも!)Wキャストではなかったのですが、一人で6日間演じ切った裏ではこんなにも努力をしていたのかと知りました。
また、キャサリン・オブ・アラゴンが眠る地へ訪れるシーンがあるのですが、ここで実話という重みを感じ、私は涙してしまうのでした。
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▼6. 日本のキャストが成し遂げたこと
改めて考えると、イギリスの歴史を日本人が日本語でイギリスの地で演じる──これがどれほど凄いことか。
逆を想像してみてください。
たとえば、赤穂浪士の物語をイギリス人が英語で東京の舞台で演じるようなものです。
しかも、本場日本の観客を魅了してスタンディングオベーションを受ける。
そう考えると、やっぱり「凄い」(何回目(笑))の一言しか出てきません。
圧倒的な歌唱力で80分間を猛スピードで駆け巡る彼女たち。
言葉は違っても、歴史も国境も超えて届くものがある。
絶対に再演があると思うのです。
そして、また観に行くと心に誓うのでした。
このコラムを書いてて気づいたのですが、SIXだから6日間だった?違うか(笑
■SIX the Musical: Japan in the West End 04/11/2025〜09/11/2025 at Vaudeville Theatre
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🌐 参考サイト
🔗 ミュージカルSIX ロンドン公式サイト
🔗 Hampton Court Palace (Historic Royal Palaces):Henry VIII’s wives: six queens, six women
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掲載日:2026年2月12日


