ふいに回ってくるドラッグ。危険を感じたらその場を離れてください。
※このコラムの画像はすべてイメージです。本文とは関係ありません。
12月、華やかなパーティーシーズン。
「海外生活は刺激的で楽しい!」―― そんなイメージの陰で、実は日本ではまず遭遇しない“薬物のリスク”がぐっと身近に存在するのもイギリスの現実です。
日本で暮らしていた頃、私は薬物を“テレビの中の世界”の話だと思っていました。
でもイギリスに来て、公園のベンチ、アパートの廊下、街中、そして仲間内でのパーティーで ―― 何度も薬物が“すぐそこ”にある状況に直面してきました。
だからこそ、今回のコラムのテーマは「薬物を語る」ことではなく、“薬物のある場所で暮らすために、私たちがどう安全を守るか”という実践的な話です。
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◆目次
⬇️ 1. イギリスでの薬物の基礎知識:「Class A / B / C」という危険度ランク
⬇️ 2. 日常に潜むサインと注意点 ― “薬物の匂い”はただの匂いではない
⬇️ 4. パーティーで“回ってくる大麻”――断るための準備を
⬇️ 5. もし危険を感じたら:通報の選択肢は「電話」だけではない
⬇️ 6. 最後に:知ることは恐れることではなく、“自分を守る力になる”
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▼1. イギリスでの薬物の基礎知識:「Class A / B / C」という危険度ランク
イギリスでは薬物は Misuse of Drugs Act 1971 に基づき、
・Class A(最も重い処罰)
・Class B
・Class C
の3つに分類されています。
たとえば、
・Class A:コカイン、ヘロイン、MDMA
・Class B:大麻、アンフェタミン、ケタミン
・Class C:一部の鎮静剤やステロイド
これらの分類は、そのまま「危険度」+「法的リスクの重さ」を示す指標です。
ここではあえて詳しくは触れませんが、罰則は“最大で何年”という法律上の数字がありつつ、状況(量・意図・前歴)で大きく変わります。
あなたが安全に暮らす上で大事なのはただひとつ:
イギリスでは、大麻を含むすべての規制薬物の“所持・使用”は犯罪であり、警察は疑いだけでも捜索・逮捕の権限がある。
という事実。
これを理解しておくと、ニュースの意味も、現場での危険性も、腑に落ちるようになります。
💡補足:大麻クラス分けの経緯
大麻(Cannabis)は2004年に一時的に Class C に格下げされ、罰則が緩くなった時期がありましたが、2009年に再びClass B に引き上げられ現在に至るまで維持されています。これは、健康被害のリスクが再認識されたためであり、「現在のイギリスでは、大麻は Class B の重い薬物」として扱われていることを理解しておく必要があります。
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▼2. 日常に潜むサインと注意点 ― “薬物の匂い”はただの匂いではない
ロンドン在住なのですが、住んでまず驚くのは、大麻の匂いに遭遇する頻度の高さです。
公園やバス停はもちろん、フラットの廊下にまで漂ってくることもあります。
大麻の匂い=違法行為のサイン。
もちろん匂いだけでは「誰が」「どこで」「何を」までは断定できません。
しかし、匂いがする=その近くに薬物がある可能性が高いという認識は持っておくべきです。
また、パーティーシーズンには別のリスクも増えます。
👤 飲み物への“スパイク”
席を離れたときに飲み物に薬物を混入される事件は、残念ながらイギリスでは珍しくありません。
→ 飲み物は必ず手から離さない
→ 知らない人から飲み物をもらわない
→ 席を離れるときは一緒に来た人に預ける、または新しいものを買う
これが鉄則。
👤 見知らぬ人からの“勧誘”
クラブやバーで「これ吸う?」と言われることもあります。
断固として、受け取らない・触らない・近寄らない。
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▼3. 体験談:隣人が“ヘビーな大麻吸い”だった話
私が以前住んでいたフラットには、昼夜問わず毎日のように大麻を吸うご近所さんがいました。
廊下いっぱいに匂いがこもり、部屋まで漂い、正直とてもつらかったです。
最初は我慢していましたが、さすがに限界に。
しかし、ここで注意したいのは――
絶対に感情的に直接言いに行ってはいけないということ。
薬物が絡むトラブルは、相手の精神状態によっては予測不能になります。
そこで私が取った行動は、
数年前に、似たような問題でご近所の方が警察に通報したことがあり、その際に警察から全戸宛に注意喚起の手紙が配られました。
私はその手紙をまだ保管していたので、「通報される可能性がありますよ」という意味を込めて、廊下に貼ってみることにしました。
あっさり大麻の匂いがしなくなり、効き目があったんだなぁと安心したのも束の間、また、同じような匂いがするようになりました。
窓や玄関から入ってくる匂いは強烈です。
そこで、今度は「健康被害を感じるようになりました。申し訳ございませんが、このエリアでの喫煙はご遠慮ください。もし、引き続きそういったことが認められれば、記録を取り然るべきところに通報いたします。」とだけ書いた紙を貼ってみることにしました。
結果は意外にも平和的で、
その人はその日から“別の場所で吸ってくれる”ようになりました。
気は使ってくれたらしい。(笑)
ただ、これらの件は私の単独行動ではなく、家族とフラットの責任者の方と相談して行いました。
また、すべてのケースでこのようにいくとは限りません。
管理会社や警察(非緊急 101)への相談も選択肢に入れてください。

森の香りが大好きなのに、お散歩の最中も遭遇すること多々あります。
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▼4. パーティーで“回ってくる大麻”――断るための準備を
あるパーティーで、私の目の前に大麻が回ってきたことがありました。
私はタバコすら吸わないので「いらない」ときっぱり断りましたが、相手は軽い感じで「少しくらい吸ってみたら」と誘ってきます。
意志が強ければ大丈夫。
だけど意志が揺らぐ人は、断り方を“事前にイメージしておく”ことを強くおすすめします。
例:
・“I’m good, thanks.”(シンプルで強い)
・“I don’t smoke at all.”(習慣としてしないと言う)
・“I can’t for health reasons.”(理由はぼかしてOK)
・“I want to stay clear-headed tonight.”(パーティーでも有効)
絶対にやってはいけないのは、“断りにくくて受け取ってしまうこと”。
受け取った瞬間に“所持”と判断される可能性があるからです。
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▼5. もし危険を感じたら:通報の選択肢は「電話」だけではない
イギリスでは、通報方法が複数あります。
☎️ 緊急(命の危険・暴力・薬物取引の現場など): 999
☎️ 非緊急(迷惑・匂い・反社会的行為、継続的な大麻の匂いなど): 101
そして、多くの警察は非緊急の問題を「オンラインフォーム」から通報できる仕組みを用意しています。
電話が苦手、英語で説明するのが不安、証拠を整理して落ち着いて伝えたい。
そんな時、オンライン通報はとても使いやすい方法です。
・写真を添付できる
・時系列で状況を書ける
・記録として残せる
など、メリットが多く、実際に利用している住民も増えています。
さらに、「自分の名前を警察に知られたくない」という場合は、🔗 Crimestoppers の匿名オンライン通報も選択肢に入ります。
これは完全に匿名で、個人情報も残りません。
ただし、匂いだけで犯人を特定できるわけではないため、「日時・場所・頻度・写真(可能であれば)」などを整理して伝えると、パトロール強化などにつながりやすくなります。
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▼6. 最後に:知ることは恐れることではなく、“自分を守る力になる”
今回のコラムは、 その他の薬物に触れる機会が少なく、語ることもできないので、特に大麻についての記述が中心となりました。
イギリスでは、薬物が日本より“身近”であることは否定できません。
しかし、それは決してパニックになるような話ではありません。
実際、私の周りにも大麻の経験者はいますし、その人たちはそれを「過去の話」として語っています。
もちろん、彼らを否定するつもりもありません。
ただ私は、過去も未来も大麻などの薬物に手を出すつもりはありません。
なぜなら、私自身の性格上、中毒になってしまいそうだと感じているからです。
大事なのは、
- どんな危険があるかを知ること
- どう対処すれば安全を守れるかを知ること
- そして、無理に立ち向かわないこと
知識は恐れを和らげ、冷静に判断するための力になります。
危険を感じたときは、ひとりで抱え込まないでください。
あなたのイギリス生活が、豊かで、安心できるものになりますように。
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🌐 参考文献/参考サイト
🔗 Misuse of Drugs Act 1971 (英国政府法令集)
🔗 The Guardian: Cannabis just got more serious (2009年当時の大麻再分類に関する記事)
🔗 Wikipedia (英語版): Cannabis classification in the United Kingdom
🔗 Crimestoppers (匿名通報が可能なサイト)
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掲載日:2025年12月11日


