上原ひろみ ロンドン公演 「Hiromi’s Sonicwonder」 はじまり、はじまり〜
本格的な寒さが始まった週の金曜日。
ジャズピアニスト 上原ひろみのロンドン公演 「Hiromi’s Sonicwonder」に行ってきました。
私にとって初めての本格的なジャズライブが、楽しみで、楽しみで。
どうしてそこまで楽しみだったかと言うと…
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上原ひろみのライブに来るまでには、ひとつの“始まり”がありました。
あれは今年の1月。
映画館BFI IMAXまで劇場アニメ『BLUE GIANT』を観に行った時にさかのぼります。

原作の漫画も「音が絵の中から飛び出してくる」と評されるほどの迫力
物語は、ジャズに魅せられた高校生・宮本大が、「世界一のジャズプレーヤーになる」という夢を胸に、仲間とともに成長していく青春群像劇。
上映前、劇中主人公が実際にサックスを吹くシーンの音を担当していた馬場智章が登場し、なんと実際にサックスを吹いてくれたのです。
さらに、アニメ内のライブシーンがBFI IMAXの大画面で映し出され、思わず没入してしまう迫力でした。
ストーリーも良くて、ジャズを生で聴いてみたいと思うようになりました。

馬場智章登場。物語のイントロデュースに相応しいサプライズ♡
そう、このアニメの音楽担当こそが上原ひろみだったのです。
彼女がロンドンに来たら絶対にライブに行く!と心に誓っていたところ、この11月に来ることがわかり、すぐにチケットを確保しました。
これが、私が初めてジャズライブに行こうと思ったキッカケです。
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■ 開演前に広がるジャズマニアの輪
今回、張り切って前から3列目を取りました。
座席に着くと何やら今まで行ったコンサートとは違う雰囲気がありました。
私は家族と行ったのですが、隣に一人で座っていた紳士が、前の座席に座っていた紳士と話をしているのです。
友達なのに席が離れたかな?と思っていると、また一人の紳士がやって来ました。
すると、隣の紳士がその紳士に「君はどこから来たの?」と聞き、「ダブリンだよ」と答え、そこから3人でジャズ談義に入りました。
1人でライブに来るなんて、相当なジャズ好きなはず。
そして、ツウだとわかると声をかけずにいられないのかもしれない。
そこのところも含めて、全てがもうジャズっぽい!

この後、ステージにスモークが炊かれ、いよいよショーの開幕です。
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■ 真紅の情熱がスパークする
真っ赤なドレスに身を包んだ上原ひろみが登場しました。
トレードマークのヘアスタイルに弾ける笑顔は、私が思い描く上原ひろみ像そのままでした。
👩🦰 Hiromi’s Sonicwonder
- Piano & Keyboards – Hiromi
- Bassist – Hadrien Feraud
- Drummer – Gene Coye
- Trumpeter – Adam O’Farrill
インターバルなし、この4人で走り抜けます。

トレードマークのヘアスタイルと太陽のような笑顔
今回の編成はHiromi’s Sonicwonder名義の最新アルバム『OUT THERE』からの曲を中心に、エレクトリック・キーボードも多用するアグレッシブなジャズ・フュージョンスタイルです。
彼女は、踊るように、飛び跳ねるように、鍵盤の上を駆け巡ります。
そして、それはまるでピアノで会話をしているかのよう。
これがジャズの醍醐味なのか、と感じました。
また、他の3人の演奏も素晴らしく、トランペッターのAdamは大きな体とは対照的なかわいい笑顔で観客を魅了していました。
▼セットリスト (違っていたらごめんなさい!)
1. XYZ
- 圧倒的なオープニングで客席を一瞬で引き込む
2. Utopia
- 流れるようなソロの掛け合いが美しい
3. OUT THERE(全4楽章)
・ Takin’ Off
– 高揚感に満ちたテイクオフ
・ Strollin’
– 贅沢に寄り道するようなお散歩
・ Orion
– 夜空に広がる宇宙のスケール感
・ The Quest
– バンドの完成度を見せつける最高潮
アンコール
4. Blackbird (The Beatles) (Hiromi ソロ)
- 至福のピアノソロ
5. Sonicwonderland (with Guest Trumpeter James Copus)
- 厚みを増した熱狂のフィナーレ
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■ イギリスと日本の客席の反応の違い
初めての本格ジャズ。
曲の途中の盛り上がりで会場から拍手が湧き上がります。
それはまるで「やるじゃないか」という客席からのアンサーのよう。
それに応えるように、「じゃあ、これはどうだ?」と、またステージでは熱い演奏が続く。
あぁ、これがジャズなのね!
帰宅後に知ったのですが、日本では静かに聞いているとネットに書かれていました。
そうなのですか?
そういえば、『BLUE GIANT』でも、観客が目を閉じて指でリズムを取るシーンが描かれていました。
「聞き浸る」という言葉がぴったりくるような感じで。
そういった聴き方もまた良きです。

左からJames Copus(Guest Tpt)、Adam O’Farrill(Tpt)、Hiromi(P)、Hadrien Feraud(B)、Gene Coye(Dr)
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■ 最高の余韻
初めてのジャズライブはどうでしたか?と聞かれたら、「超最高!」の一言に尽きます。
ステージと客席がまるで繋がっているようで、ライブは生ものを肌で感じたコンサートでした。
また行きたいと本気で思いました。
上原ひろみのチケットは日本ではなかなか取れないみたいで、こんなに間近で観られたことは本当にラッキーだったのかもしれないなぁ。
■Hiromi’s Sonicwonder – part of the EFG London Jazz Festival 21/11/2025 at Barbican Centre
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掲載日:2025年11月27日


