イギリスで花の世界に埋もれてみた ー サーチギャラリー特別展「Flowers」より

サーチギャラリー特別展 Flowers FLOWERS


ロンドン・スローン・スクエア駅近くのサーチギャラリーで開催中の特別展「FLOWERS(Flora in Contemporary Art & Culture)」を訪れました。


この「FLOWERS」展では、「なぜ “花” がアートの世界でこれほど長く、繰り返し描かれてきたのか?」という普遍的なテーマに触れることができます。実際、展示されている作品の多さと多様さから、花の普遍性を強く感じることが出来ました。


公式サイトには、参加アーティストたちの名前が書かれていて、その数の多さに圧倒されます。好きなアーティストの名前があれば、足を運んでください。そうでなくてもこれだけ多くの作品を、よくぞ集めたものだと感心せずにはいられません。ぜひ実際に体感してほしいです。


Flowers 展示物

500以上のアートワークとオブジェクトが飾られていて、興奮しすぎて酸欠気味です。




会場は「Roots」「In Full Bloom」「Flowers in Fashion」「Flowers in Photography and Sculpture」などの部屋があり、9つのセクションに分かれています。



私のお気に入りの部屋は「Flowers in Fashion」。大好きなマリークワント、ヴィヴィアン・ウエストウッド、マリメッコの服や生地、デザインが展示されていて、見た瞬間嬉しくて思わず声が出たほどです。(私一人で行っています。完璧なひとり言です。)
こんなに間近で見ていいの?と思うほど。もちろん触れてはいけませんが、じっくり穴が開くほど観察してきました。

Flowers Vivienne Westwood

ヴィヴィアン・ウエストウッドです!色といい、形といい、猫といい、最高です。







そして、「Rebecca Louise Law」の部屋。この部屋には10万本を超えるドライフラワーで作られたインスタレーション作品が飾られていました。ベンチに座ってゆっくり見るのもいいですし、作品の真ん中に立って花全体を感じるのもいいですし、階段を登り上から見ることもできました。この作品は春夏秋冬を表現されているように感じたのですが、皆さんはどう思われるでしょう。

Flowers and flowers

個を見て全体を作るのか、全体のイメージを想定し、個々を重ねていくのか。




また、「Flowers in Film, Music & Literature」では、過去50年間の花をテーマにしたレコードジャケット120枚が、壁一面にずらりと飾られています。「そうだ!これもそうよね!」と思わず声に出そうになるジャケットの嵐で、とても楽しかったです。そして、そこに登場する曲の中から選りすぐりの楽曲を集めたSpotifyプレイリスト「The Music of Flowers」も公開されています。音楽を聴きながらアートを楽しむのもいいかもしれません。エアポッズやイヤホンを持っていくのを忘れずに!私は持っていかなかったので、家で楽しんでいます。

▶︎ Spotify プレイリスト「The Music of Flowers」





そのほか、ポップアート界のレジェンド・村上隆さんや、唯一無二のインスタレーションアーティスト・草間彌生さんをはじめ、日本人の作品も展示されていました。 どの作品にも、”花” に対する鋭い感性と遊び心が込められていて、表現への自由が有り余るエネルギーとなり、それぞれの魅力が解き放たれていました。

Flowers 村上隆

左 花盛りのジャケット写真たち /右 村上隆さんの作品 NewJeans「Supernatural」から






これからも ”花” をテーマにしたデザインは人類が滅亡するまで生まれ続けるでしょう。改めて、アートの世界の奥深さを感じた展覧会でした。





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特別展「Flowers」を楽しんだあと、同じ建物内で開催されている「RHS Botanical Art & Photography Show 2025」も観てきました。こちらは、英国王立園芸協会(Royal Horticultural Society)が主催する国際的なコンペティション形式の展覧会です。

世界中の植物をテーマにした繊細で精密なボタニカルアートや、美しく構成された植物写真が一堂に会し、アーティストの気持ちが見えるような見ごたえのある作品ばかりでした。

そして、Gold Medal を受賞されたKyoko Uchiyamaさんの絵と、Silver-Gilt Medalを受賞されたHideko Kamoshitaさんの絵も飾られていました。蓮の花や桜をモチーフにした作品は細部に渡り美しく描かれ、そこに遠く離れた日本を感じました。

そのほかの作品も素晴らしく、植物の持つ力強さや繊細さを感じるに足る有意義な時間となりました。

Flowers RHS

左:Gold Medal Kyoko Uchiyamaさんの作品 / 右:Silver-Gilt Medal Hideko Kamoshitaさんの作品
お二方、受賞おめでとうございます!





●さらに “今”、気になる展覧会

ところで今、私にはとても気になっている展覧会があります。それはOxfordアシュモリアン美術館で開催されている「KABUKI KIMONO: Costumes of Bandō Tamasaburō V」で、五代目 坂東玉三郎さんの衣装の特別展です。

人間国宝である玉三郎さんの衣装を見られる機会は、そう多くはありません。公式サイトの写真を見ているだけでもワクワクします。一着一着がまるで絵画のようで、とても興味をそそるのです。

歌舞伎に明るくない私がこんなに心惹かれるのは、やはり今、日本で話題になっている映画「国宝」が気になっているからかもしれません。大きなスクリーンで観たいので、是非、イギリスでも公開してほしいものです。いつも心の中では、「本気の芝居を!この目で!映画よ、来い!来い!来い!」と叫んでいます。(笑)

映画が来るまでの間、小説「国宝」を読んで待つことにしました。作者は好きな作家さんの一人、吉田修一さん。Kindleでさっそく購入し読み始めました。すでに物語に引き込まれています。ますます、映画が楽しみです!




■「FLOWERS – FLORA IN CONTEMPORARY ART & CULTURE, SUMMER SEASON」
  〜8/31まで at Saatchi Gallery (ロンドン 有料)

■「RHS Botanical Art & Photography Show 2025」
  〜7/27まで at Saatchi Gallery (ロンドン 無料)

■サーチギャラリーで開催される「FOCUS Art Fair London 2025」(10/16〜19)では、Kis-My-Ft2の千賀健永さんによるアート作品「FiNGAiSM」ほか、日本人アーティストの出展も予定されています。
 ▶︎ FOCUS Art Fair インスタグラム
 ▶︎ FOCUS Art Fair London 2025

■「KABUKI KIMONO: Costumes of Bandō Tamasaburō V」
  〜11/9まで at Ashmolean Museum (オックスフォード 無料)



(2025年07月24日掲載)