たった30年。されど30年。国際通信も歴史あり。(Photo: Unsplash)
◆今回のトピック
⬇️ 4. 甘やかしは続きます。いよいよスマートフォンの登場!
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▼気軽に国際電話なんてかけられなかった時代
はじめてイギリスに来たのは約30年前でした。
ほんの一週間ほどの旅行。
個人では初めての海外旅行で、本当に右も左も分からない状態。
今思い返しても、よく来たなというぐらいの英語力。
不安と期待と興奮とが入り混じった気持ちは、いまだに覚えています。
当時はまだまだ日本が強かった時代。
ピカデリーサーカスのエロスの像の前のビル。
そこにあったTDKとSANYOの大きな広告を見て、謎に日本人として鼻高々でした。

この通りの右側に三越ロンドンでしたよね?(Photo: Unsplash)
そんな時代のロンドンで、旅行者にとって心強い存在だったのが「三越ロンドン(百貨店)」でした。
ピカデリーサーカスからほど近い場所にあり、日本語が通じる安心感は何物にも代えがたいものでした。
三越レストランの食事はどれも美味しく(特にすき焼き!)、お昼時にはお弁当も売られていてよく買いに行っていました。
さて、三越の階段脇には、日本への「コレクトコール専用電話」がありました。
今みたいにFacetimeやLINEがなかった時代において、大袈裟に言えば、当時、ここが日本へつながる唯一の現実的なラインだったのです。
| 『コレクトコール』とは、通話料金を受け手側に負担してもらう仕組みです。 料金は最初の3分間だけで数千円、その後も1分ごとに数百円が加算されます。 本当に必要な時だけしか使えない、贅沢な連絡手段だったのです。 |
高額だけれども、家族も心配しているだろうと思い、旅行中に1度だけ利用したことがあります。
受話器を持ち上げるとすぐにオペレーターの方が出てくれます。
こちら側が「コレクトコールをお願いします。」と言い、電話番号を伝えます。
先方には「コレクトコールでお電話がかかっていますが、つなげますか?」といった確認をした後につなげてくれたと記憶しています。
結局、話した内容は「元気?」「元気よ」「大丈夫?」「大丈夫よ」といった簡単な会話だけで終了しました。(笑)
もったいない使い方ですね。
その頃はまだまだ親頼みのすねかじり子でした。
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▼いざ、渡英!どうする?国際電話
旅行から数年後。
2度のイギリス旅行で素敵な街並みに魅了された私は、「住んでみたいかも」と大いなる勘違いで渡英することを決意しました。
渡英後、イギリスの携帯電話を手に入れたものの、日本の家族との連絡手段はほぼEメールだけ。
スマートフォン登場前だったので、PCでメールをチェックするのが日課でした。
それでも、たまには家族の声を聞きたいもの。
そこでプリペイド式の国際電話カードの登場です。
有名なところでは「Swiftcall(スイフトコール)」。
イギリスを拠点とした通信会社で、格安の国際電話プリペイドカードや、専用のアクセス番号を介した通話サービスを提供していました。
コレクトコールのような凄まじい高額料金から、一気に「1分数十ペンス(数十円)」ほどの現実的な価格まで国際電話料金を叩き落としてくれたのがSwiftcallでした。
💡 使い方は簡単。
カードに書かれたアクセス番号をダイヤルし、PIN(暗証番号)を入力。
それから、かけたい日本の電話番号をダイヤルするだけ。
コレクトコールよりは安く、しかも通話料を自分でコントロールできるので、これが主流になっていきました。
カードの銀色のスクラッチする部分を、10ペンスコインとかでガリガリ削って、長〜いアクセス番号を打ち込む作業……しびれますね。
ただ、安くなったとは言え、少しでも値が安いカードが欲しい。
そこで、登場するのがチャイナタウンで売られていた格安国際カード。
あちこちのニュースエイジェントで国際電話カードは売られていましたが、チャイナタウンのお店が安いとの情報を得て、手に入れていました。
今も昔も変わらずに、海外暮らしは口コミと行動力がカギですね。
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▼画期的すぎて何?Skype登場
そして、2003年のある日。
「ねえ、Skype(スカイプ)って知ってる?」
え?無料なの?
しかも、PCさえあれば操作は簡単なの?
SkypeアプリをPCにインストールするだけで、Skype同士の会話は無料。
さらに固定電話への通話もSwiftcallとは比べものにならないほどの安さ。
そして、やがてビデオ通話も可能になりました。
顔を見ながら話せる安心感も手に入るなんて!
それはまさに世界が変わった瞬間でした。
もうカードを買いにわざわざチャイナタウンに行く必要もない?
(ご飯を食べには行きます)
もうあの長い数字を打たなくてもいい?
というか、無料なの?
詰まるところはやはり “無料最強” ですね。
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▼甘やかしは続きます。いよいよスマートフォンの登場!
時は流れ、2011年。
Skype登場で世界が変わった私ですが、さらに変化する大事件。
それが「ついにスマートフォンがやってくる!」でした。
片手でスマホを操作。
クリック一つで日本と通話ができる!
なんでもできるスマホさん。
生活は一変しました。
そして、同時期に登場したスマホアプリ『LINE』。
数日に1回の家族とのメールが、LINE登場で毎日のやり取りに変わり、しかもグループLINEなんてのもあるから、友達数人でグループを作って会話が楽しめます。
渡英当時には考えられなかった世界がそこにはありました。
ああ、私は甘やかされている…。
そして、年老いた親も使える簡単操作。
ヘルパーさんたちにインストールしてもらったスタンプを駆使して、母からは毎日何かしらのメッセージが送られてきます。
今も続く毎日の安否確認のようなやり取り。
顔を見ながら話せるLINEのビデオ通話も本当に大助かりです。
そして、その全てが無料であること。
なんて素晴らしい!
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▼そして、コミュニケーションの未来へ
新しい技術が生まれるということは、それまで必要とされた技術が衰退するということでもあります。
高額なために1回しか使わなかったコレクトコール。
カードを削って長い番号を打ち込んだプリペイドカード。
無料通話の先駆けとなったSkype。
そのいずれも今はもう過去のものとなりました。
でも、変わらないものもあります。
30年前、三越のコレクトコールで「元気?」「元気よ」と言うだけだった私が、今では母から毎日スタンプが届き、顔を見ながら何気ない会話ができる。
通信技術が進化するたび、日本は少しずつ近くなりました。
そして今、イギリスにいながら毎日家族と繋がれる──これは30年前には想像もできなかった贅沢です。
次回は「一時帰国時の携帯電話事情」についてお話しします。
お楽しみに!
***
🌐 参考サイト
🔗 KDDIジャパンダイレクト(コレクトコールについて)
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掲載日:2026年3月12日


