クリスマスカードはまだまだ一大イベント!
🎍新年あけましておめでとうございます。
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さて、今年最初の「よみもの」は、イギリスの郵便事情(全3回シリーズ)についてお送りしたいと思います。
私が1年に1度、1番郵便物を送るのが12月。
そして、郵便物が届くのも12月。
クリスマスカードや年賀状ですね。
送ったものが届いたり、届かなかったり。
そんな経験を重ねるうちに、
「そもそもイギリスの郵便って、どんな仕組みなの?」と気になり、調べてみることにしました。
イギリスの郵便“Royal Mail”は、名前からしてちょっと特別です。
いったい、なぜ「ロイヤル」なのでしょうか。
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◆今回のトピック
⬇️ 1. はじまりは、あの「恋多き王様」から 〜ヘンリー8世とロイヤルメールの誕生〜
⬇️ 2. 「王の郵便」から「みんなの郵便」へ 〜王室専用から市民も使える制度へ〜
⬇️ 3. 500年経っても変わらない「ロイヤル」の誇り 〜赤いポストが語る歴史と伝統〜
⬇️ 4. ポストの紋章(Royal Cypher)の見分け方 〜君主ごとの紋章をチェックしてみよう〜
⬇️ 5. 最後に 〜次回予告:2026年最新ルールと賢い送り方〜
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▼1. はじまりは、あの「恋多き王様」から
“Royal Mail”。
この「ロイヤル」の称号、ただの飾りではありません。
その歴史を遡ると、500年以上前、1516年のヘンリー8世の時代にたどり着きます。
ヘンリー8世といえば、イギリス史上最もドラマチックな王様の一人。
欲しいものは何でも手に入れる強引な性格で知られ、自分の離婚を認めてもらうために、国全体の宗教(カトリック)を捨てて新しい教会(英国国教会)を自ら作ってしまったという、恐ろしくもパワフルな人物です。

私も観に行ったミュージカル『SIX』日本キャスト版 ロンドン公演。最高でした!
生涯に6度も結婚し、思い通りにならない妻を処刑してしまうなど、その「恋多き(かつ冷酷な)」エピソードは枚挙にいとまがありません。
特に2025年、彼の6人の元妻たちがマイクを握って歌い上げるミュージカル『SIX』で、日本人キャストが本場ロンドンの舞台に初上陸したことで、ピンとくる方も多いかもしれません。
劇中では「離婚、打首、死別、……(Divorced, Beheaded, Died…)」と、王妃たちの波乱万丈な運命がポップに語られますが、彼らの秘密の手紙や、王の命令を国中に届けるための仕組みとして生まれたのが、ロイヤルメールの原点なのです。

ヘンリー8世の肖像画が書かれた切手
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▼2. 「王の郵便」から「みんなの郵便」へ
当時はまだ、郵便は一般市民のためのものではありませんでした。
王室の重要な手紙を運ぶためだけの「The King’s Posts(国王の郵便制度)」。
文字通り、王様とその家族、そして側近たちだけが使える特権階級のためのサービスだったわけです。
▶︎1516年: ヘンリー8世が「国王の郵便長官」を任命。
▶︎1635年: チャールズ1世がようやく「一般の人も使ってよい」と開放。
チャールズ1世が郵便を一般開放した背景には、切実な「資金調達」という目的がありました。
彼はロンドンに最初の郵便局を設立し、運営費をまかなうために市民からも料金を取ることにしたのです。
しかし、当時の郵便事情はまさに命がけ。
手紙は馬に乗った郵便局員が運んでいましたが、一人で移動する彼らは強盗(ハイウェイマン)にとって格好の標的でした。
また、スピードも今では信じられないほどスロー。
ロンドンからエディンバラへ送った手紙の返事が届くまでに、なんと最大2か月かかることもあったそうです。
経済的な損失や危険が伴いながらも、この「馬で運ぶ」というアナログなシステムは、その後150年もの間、ほとんど変わることなく続いていきました。
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▼3. 500年経っても変わらない「ロイヤル」の誇り
それから500年以上。
時代は変わり、郵便局は民営化されました。
それでも「ロイヤル」の名を冠し続け、ポストには現君主の紋章(チャールズ3世ならCⅢR)が刻まれています。
そうです。
街角にあるあの赤いポスト(Pillar Box)は、一つ一つが「歴史の証人」となるわけです。
よく見ると、ポストの正面にアルファベットが組み合わさった紋章が刻まれているのに気づきましたか?
これは「ロイヤル・サイファ(Royal Cypher)」といって、そのポストが設置された当時の君主(王様・女王様)を表しています。
これを知ると、散歩のついでにポストを見るのが楽しくなりますね!
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▼4. ポストの紋章(Royal Cypher)の見分け方
今、街で見かける主なものはこんな感じです。
- ER II (Elizabeth Regina II): 一番よく見かける、エリザベス女王の紋章です。70年の在位期間があり、イギリス中で見ることができます。
- GR / GR VI (George Rex): エリザベス女王のお父様、ジョージ6世(映画『英国王のスピーチ』のモデル)や、その前のジョージ5世の時代のもの。「VI」という数字が入っていたら、お父様のジョージ6世のポストです。
- VR (Victoria Regina): なんと100年以上前、ヴィクトリア女王時代のポスト!今も現役で手紙を受け止めている姿には、イギリスらしい物持ちの良さを感じます。
- CR III (Charles Rex III): そして今、少しずつ増え始めているのが、現在のチャールズ国王の紋章です。

ウィンザー城の近くにある歴史的なポスト。
左からランプ型小型ポスト、エリザベス2世(ER)時代のポスト、ジョージ5世(GR)時代のポストです。
| 豆知識: スコットランドのポストには「ER II」と入っていないものが多いのです(エリザベス1世はスコットランドの女王ではなかった、という歴史的背景への配慮だとか)。代わりにスコットランド王冠の絵が描かれています。 |
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▼5. 最後に
500年前にヘンリー8世が作った「王のための郵便」は、こうして形を変えながら、今も私たちのすぐそばに息づいています。
さて、そんなロイヤルな誇りを感じつつも、現代の私たちにとって切実なのは「結局、いつ、いくらで届くの?」という問題。
次回、第2回【実用編】では、2026年4月の最新ルールと、値上げに負けない賢い荷物の送り方を徹底解説します。
お楽しみに!
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🌐 参考サイト
🔗 ロイヤルメール公式:ヘンリー8世たちの貴重な手紙や、年表が閲覧できます
🔗 英国王室公式:王室と切手、そしてロイヤル・サイファの歴史についての解説です。
🔗 英国郵便博物館(The Postal Museum):命がけだった郵便少年の話や、スピード革命を起こした郵便馬車の歴史が紹介されています。
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掲載日:2026年1月8日


